Brand New Days

 通っていた大学のホームカミングデーに行った。

 

食堂のメニューボードの横に貼ってあったメモには、“寒かったら上着を着ましょう”、“ちゃんと眠れていますか?”、“バランスよい食事をしましょう”と書かれていた。それを見て少し涙ぐんでしまった僕。

 

なぜなら、きっと自分もその一人だったから。

 

友達なんか誰もいない、知り合いもほとんどいない。そんな場所で、健康に、楽しく生活できることってどんなに大変な、どんなにラッキーなことなんだろうか。自分一人の力じゃ到底実現できない偶然が重なった状態でしかないのかもしれない。

 

たとえば朝起きて、仕事に行き、ボーイフレンドと帰りに落ち合って食事をして、ダブルベッドのある自宅に帰る。そんな自分にとっては当たり前の日々が、18歳や19歳の若者からしたらいつか手に入れたい生活そのものだったりするのかもしれない。

 

新しすぎる毎日、新しすぎる世界に順応するためには体力がいるし、ある意味での無知が必要。これからの30代は、少し違った形で、新しい世界や価値観と向き合っていけたらとっても素晴らしいことなんじゃないかと、あのころ毎日キャンパスから眺めていた西新宿のビル街を見ながら思った。