Lost In Translation

 

”金曜の夜 僕たちはワインを飲んで酔っぱらって
夜中の2時になったとき、この人にプロポーズしようと決めた”

大好きな歌手の大好きな歌の一節。その歌はこんな歌詞から始まる。

”このアップルはずっと好きになれなかった なぜなら大きすぎて手におえなかったから”。ちなみに、このアップルっていうのは、ニューヨークのこと。大都会。

バックストリートボーイズのAs long as you love meっていう曲があるけど、僕はこの歌詞をちゃんと英語で理解できていない。日本語にすると、”君が僕を愛する限り”。

なんだかそんなのやだな、と思う。好かれているうちしか相手を愛さないなんてそんなのやだな。損得勘定みたいで。でもたぶんここに込められているのはそういう意味じゃないんだろうなっていうことはわかる。

"Freedom's Just Another Word For Nothing Left To Lose"。これはまた別のシンガーの歌の一節。自由っていうのは何も失うものがないこと。つまりこうだ。失いたくないものができると、人は不自由になる。身動きがとりづらくなる。でも明日死んでしまうとしても、勝手な行動をせず平穏に1日を終えようと思うなら、たぶんきっと失いたくないものが自分が死んだ後もある人だ。

自分が大好きだったポップカルチャーも、10代の自分におけるコノテーションの最大値と、こうして30代になったときに感じる意味が大きく違うことがある。でも、分からないものはわからないままで、きっとそこの違和感こそが自分の個性とか、こだわりっていう形で見えてくるんだと思う。

ポップカルチャーといえば、今年はとっても面白いことが起きた。大好きな人と、20年前のポップカルチャーで夜通し盛り上がれることだ。夜中の2時に、ワインを飲みながら。

こんなこと、ずっとずっと起きるはずがないって思っていた。